1953(25歳)
「第38回二科展」東京都美術館(東京)
「作品Ⅰ」WorkⅠ60×40×30cm(石膏着色-鉄色、黒鉛)
初めての作品と意識して作った抽象作品。当初自刻像を作っていたが、だんだん変形していって、鉄兜を横にした中に自分を閉じ込めた、防御性の強く出た作品になる(戦時中の影響)。兵器=鉄から身を守るためには鉄=鉄兜しかないという観念的な質感により、鉄を素材として使いたいという気持ちが生じた。とりあえず石膏で作り、鉄兜のイメージを出すために鉄色に着色したが、満足できず、すぐに大阪布施の鉄工所に行く。そこで鉄での製作を依頼したが、自分で作ってみなさいと言われて、自ら鉄の加工を始める。鉄に素材として初めて接する。(その最初の作品が 1954年の「鉄」。)外部から身を守る=排除するための棒=角=アンテナがある。
「作品Ⅱ」WorkⅡ(石膏着色-鉄色、黒鉛)
防御性の作品。「作品Ⅰ」をさらに抽象化していってできた形。ヘルメットの中に自己がいる。この自己だけがでてきたものが、次の「革命の歌」。これも鉄で作りたかった。1960年の「習性」、1964年「冬眠中」へと繋がって行く。
「革命の歌」(石膏着色-鉄色、黒鉛)
側を自分で外して、声を発している。身体はまだ殻に包まれたままである。この象徴的な「声」が、後の 「Vocal Cords(焼失した声帯)」に繋がっていく。